ベトナムの税金は外資と内資で違う?|法人税・VAT・外国契約者税(FCT)の差を徹底解説 – ベトナム進出支援・飲食店開業・出店ならグローカルコネクション
2026.06.23
ベトナムの税金は外資と内資で違う?|法人税・VAT・外国契約者税(FCT)の差を徹底解説
「ベトナムに外資として進出すると、現地の内資企業より税金で不利になるのでは?」——飲食店の海外進出を検討するオーナーから、よくいただく不安です。
結論から言うと、ベトナムの税金は「外国資本であること自体を理由に税率が上乗せされる」制度はありません。法人税もVATも、出資比率によって税率が変わることはないのです。
ではなぜ「外資は税金で不利」と語られるのか。違いは“税率”ではなく、“外資だからこそ発生しやすい取引と義務”にあります。特に飲食店の場合、日本本社へのブランド使用料やレシピ提供料の支払いにかかる「外国契約者税(FCT)」、効きにくい優遇税制、外資に課される監査義務などが、内資ではあまり生じないコストとして現れます。
この記事では、ベトナム進出を考える飲食店オーナー向けに、内資と外資で「何が同じで、何が違うのか」を、2026年時点の最新制度を踏まえてフラットに整理します。なお本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務判断は必ず専門家にご確認ください。
目次
1. 結論:税率は「資本構成」では変わらない
まず、いちばん知りたい結論からお伝えします。
ベトナムでは、「外国資本だから法人税率が高くなる」「内資だから安くなる」という制度はありません。所得に対する課税制度は、外資系企業にも国内企業にも統一的に適用されます。これがベトナム税制の大原則です。
法人税(CIT)の標準税率は20%。これは内資法人でも外資法人でも同じです。CITの基本税率を左右するのは「資本が外国か国内か」ではなく、企業の売上規模・優遇対象事業や地域・関連企業要件です(VATやFCTの税率は取引内容で決まります)。
実際、2025年10月1日施行の新しい法人所得税法(67/2025/QH15)では、売上規模に応じた税率区分が導入されました。判定は原則として前年度(直前課税年度)の年間総売上高で行われます。
- 年間総売上高30億ドン以下:15%
- 30億ドン超〜500億ドン以下:17%
- 500億ドン超(優遇税率の適用がない場合):標準の20%
ただし、関連企業関係や関連企業の売上規模等により、15%・17%が適用されない制限があります。たとえば関連会社側が低税率の適用条件を満たさない場合などです。日系飲食店が日本の大企業のグループ会社として進出する場合、自動的に低税率になるわけではない点に注意が必要です。また、新設会社の初年度の税率判定は実施細則に基づく個別確認が必要で、設立直後から当然に15%・17%を選べるわけではありません。
いずれにせよ、「外資だから税率で損をする」という心配は基本的に不要です。差が出るのは“税率”ではなく、次に見る“取引と義務”の部分です。
2. 【比較表】内資法人 vs 外資法人 税務まるわかり一覧
内資法人と外資法人で「何が同じで、何が違うのか」を一覧にまとめました。この表が、この記事でいちばん重要なパートです。
| 項目 | 内資法人 | 外資法人 | 差 |
|---|---|---|---|
| 法人税(CIT) | 20%(規模により15/17%) | 20%(規模により15/17%) | 資本構成では変わらない |
| 付加価値税(VAT) | 標準10%(時限8%措置あり) | 標準10%(時限8%措置あり) | 同じ |
| 個人所得税(PIT) | 5〜35%(2026年〜5段階) | 5〜35%(2026年〜5段階) | 同じ(居住者区分で決まる) |
| 法定監査義務 | 一定の類型のみ | ほぼ例外なく対象 | 外資で生じやすい |
| 外国契約者税(FCT) | 海外への支払いがあれば発生 | 本社支払いで発生しやすい | 外資で発生しやすい |
| 日本本社へのロイヤリティ | ほぼ生じない | 生じやすい(商標はVAT5%+CIT10%) | 外資で発生しやすい |
| 利益(配当)の本国送金 | 国内配当 | 外国投資家への国外送金は手続きあり | 外国投資家特有 |
| 移転価格の管理 | 関連者取引があれば対象 | 親子間取引で生じやすい | 外資で生じやすい |
ポイントは明確です。税率(CIT・VAT・PIT)は資本構成では変わりません。差が出るのは、「外資だからこそ発生しやすい取引」と「外資が対象になりやすい義務」の部分です。
具体的には、
- 日本本社にブランド使用料や経営指導料を払う → FCTが発生
- 利益を日本に持ち帰る → 国外送金の手続きが必要
- 外資なので → 毎年の法定監査が原則必須
これらは、内資のローカル飲食店では縁が薄く、外資にとっては避けて通れないコストになります。なお、これらは「外資専用の税金」ではなく、FCTも移転価格も「外国への支払いや関連者取引があるか」で決まる制度です。外資企業ではそうした取引が発生しやすい、という“頻度の差”だと理解してください。
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3. そもそもベトナムの主な税金(CIT・VAT・PIT)の基礎
差の話に入る前に、ベトナムで飲食店を経営すると関わる主な税金を、内資・外資共通の基礎として確認しておきます。
● 法人税(CIT:法人所得税)
企業の利益(課税所得)に課される税金で、標準税率は20%です。前述のとおり、2025年新法で前年度売上規模により15%・17%の区分も導入されています。CITについては、日本の法人住民税・法人事業税のような地方税の上乗せがないのが特徴です。
申告は年1回の確定申告に加えて、四半期ごとの仮納税が求められます。確定申告は会計年度終了後90日以内(12月決算なら翌年3月末まで)が期限です。
● 付加価値税(VAT)
日本の消費税にあたる税金です。標準税率は10%ですが、国会決議204/2025/QH15により、2025年7月1日から2026年12月31日まで、対象となる多くの商品・サービスについてVATを8%に引き下げる時限措置が実施されています。飲食・小売・製造・運輸・物流などが対象に含まれ得ます。ただし時限措置のため、終了・延長や対象品目の改正があり得るので、請求時点の制度を確認してください。酒類など軽減対象外の品目を扱う場合は請求書上の区分判定が必要です。輸出取引には0%が適用される場合もあります。
● 個人所得税(PIT)
従業員や経営者個人の給与等に課される税金です。税率は所得に応じて5〜35%の累進課税で、これは内資・外資で差はありません。なお、新個人所得税法(109/2025/QH15)により、2026課税年度から累進税率の区分が従来の7段階から5段階に簡素化され、基礎控除・扶養控除も引き上げられました。税負担を分けるのは資本構成ではなく、個人が「居住者か非居住者か」です。居住者(暦年または初回入国日から連続する12か月間に183日以上滞在する者、ベトナムに恒常的住所がある者などの要件を満たす者)は全世界所得が課税対象、非居住者はベトナム国内源泉所得に一律20%が課されます。外国人駐在員の居住者判定は滞在日数だけで決まらないため、個別確認が必要です。
これらの基本税率は、繰り返しになりますが資本構成(外資か内資か)では変わりません。差が生まれるのは、ここから先の「外資で生じやすい論点」です。
4. 外資で注意すべき差①:外国契約者税(FCT)
ここからが本題です。飲食店の外資進出で見落とされやすい代表的な論点が、この外国契約者税(FCT:Foreign Contractor Tax)です。ブランド使用料を払うフランチャイズ型では特に効いてきます(逆に本社へ支払いのない直営型では負担は小さくなります)。
● FCTとは何か
FCTは、外国の法人・個人(外国契約者)が、ベトナムの法人・個人との契約に基づき、代表的にはサービスを提供したり、ロイヤリティ・利息を受け取ったりした際に課される、ベトナム独自の制度です(このほか一定の物品供給や現地引渡しを伴う取引等も対象になり得ます)。法人税(CIT)部分と付加価値税(VAT)部分から構成されます。単一の独立した税というより、外国契約者に対するVAT・CIT等の徴収実務の総称と理解するのが正確です。
重要なのは、FCTは「外資企業に課される税金」ではないという点。ベトナム企業が海外のフランチャイザーやコンサルタント、外国SaaS事業者などに支払えば、内資企業でもFCTは発生します。逆に外資企業でも、対象となる国外支払いがなければFCTは発生しません。判定軸は「内資か外資か」ではなく「外国契約者との対象取引があるか」です。
納税義務者は外国側(=日本本社)ですが、実務上最も一般的な直接法では、ベトナム法人が支払い時に源泉徴収して代理申告・納付します(外国契約者が自ら申告する控除法・混合法もあります)。負担をどちらが持つかは契約書の記載によります。
● なぜ飲食店の外資進出でFCTが効くのか
日本の飲食ブランドがベトナムに進出すると、現地法人から日本本社へ、ブランド・商標の使用料(ロイヤリティ)、レシピ・メニュー開発の提供料、経営指導料、システム利用料といった支払いが発生しがちです。これらは外資系飲食店で生じやすい、国外本社・ブランド保有者向けの支払いであり、ここにFCTが課されます(内資でも海外ブランドとフランチャイズ契約等を結べば同様に発生します)。
ただし、これらを一律に同じ税率で扱うことはできません。商標・著作権の使用許諾、ノウハウのライセンス、技術移転、役務(経営指導)、ソフトウェア利用などで取扱いが変わるため、契約内容ごとの判定が必要です。
● 飲食店で関係するFCTのみなし税率(直接法)
支払いの種類ごとに、みなし税率が異なります(通達103/2014/TT-BTCに基づく代表例)。飲食ブランドで中心となるのは「商標使用権のロイヤリティ」で、これにはVAT5%+CIT10%が課される実務が示されています。
| 支払いの種類 | みなしCIT率 | みなしVAT率 |
|---|---|---|
| 商標使用権のロイヤリティ(ブランド使用料) | 10% | 5% |
| その他の知的財産権ロイヤリティ・技術移転等 | 10% | 免税となる場合あり |
| サービス(経営指導料等) | 5% | 5% |
| 利子(親子ローンの利息) | 5% | 免税 |
| 配当・分配利益の送金(法人投資家向け) | 0% | ― |
たとえば、日本本社にブランド使用料(商標ロイヤリティ)を支払う場合、VAT5%+CIT10%が課されるイメージです。日越租税条約上のロイヤリティの限度税率も原則10%で、国内のみなしCIT率10%と同水準のため、通常のロイヤリティでは条約を適用しても税率が下がらないことが多い点に注意してください(条約には所得分類や受益者要件など別の意義はありますが、自動的に10%未満になるわけではありません)。これは内資のローカル店には縁の薄いコストであり、進出時の収支計画に必ず織り込む必要があります。
なお、FCTの税額がそのまま最終的なコストになるとは限りません。VAT部分は、VAT課税事業への使用や適法な納税証憑など控除要件を満たせば、ベトナム法人側で仕入VATとして控除できる場合があります。CIT部分は、契約がグロス契約(税金を日本本社が負担)かネット契約(税金をベトナム法人が負担)かで日本側の扱いが変わります。実務で多いネット契約では、ベトナム法人が自社負担で納めたFCT-CITは日本本社が納めた税とはみなされず、日本側の外国税額控除の対象外になることがあります。どちらの契約形態にするかでグループ全体の税務コストが大きく変わるため、「源泉徴収される税額」と「グループ全体での実質負担」は分けて考える必要があります。
5. 外資で注意すべき差②:優遇税制は飲食業に効きにくい
「ベトナムには外資向けの優遇税制があると聞いた」——これも、半分正しく半分注意が必要な情報です。
● 優遇税制は確かに存在する
ベトナムには、法人税の優遇税率(10%など)、一定期間の免税・減税(タックスホリデー)といった優遇制度があります。2025年新法では、半導体、AIデータセンター、ハイテク農業、中小企業・スタートアップ支援サービスなどが優遇対象に追加されました。
● ただし、飲食業は対象になりにくい
ここが落とし穴です。これらの事業分野・地域に基づく優遇は、国家が発展を奨励する特定の業種・地域に限られます。ハイテク、IT、教育、環境保護、経済的に困難な地域での投資などが中心で、都市部の一般的な飲食店はこれらの「奨励事業」に該当しないことがほとんどです。
つまり、飲食業の外資進出では、事業分野・地域に基づく優遇税制の恩恵を受けにくいのが実態です。しかもこの判定は内資・外資で差がなく、「外資だから優遇される」のではなく「業種と地域で決まる」ものです。
一方で、前述した売上規模に基づく15%・17%の税率は、要件を満たせば飲食業でも検討の余地があります。「事業分野・地域の優遇は通常期待しにくいが、企業規模に基づく税率は別途確認する」という整理が正確です。
6. 外資で注意すべき差③:移転価格・利益送金・監査義務
FCTと優遇のほかにも、外資で生じやすい論点が3つあります。
● 移転価格(関連者取引の厳格化)
日本本社とベトナム子会社の間で取引(ロイヤリティ、ローン、仕入れなど)を行う場合、その価格が「第三者間と同じ妥当な水準か」を問われるのが移転価格税制です。これは外資専用ではなく、内資企業同士でも関連者関係と関連者取引があれば適用されますが、外資では親子間取引が生じやすいため論点になりやすい、という関係です。
また、関連者取引が1つでもある企業については、受取利息等を控除した純支払利息のうち、税務上調整したEBITDAの30%を超える部分が損金として認められません(政令132/2020/ND-CP)。損金不算入額には原則5年間の繰越制度があります。注意したいのは、日本本社に少額のブランド使用料を払っている(=関連者取引がある)だけで、現地銀行から調達した店舗展開資金の利息まで純支払利息の計算対象に含まれ得る点です。ただし、適用除外や純支払利息額・税務上のEBITDA等の計算条件を確認する必要があります。本社からの資金を借入に頼りすぎると、利息が経費にならず税負担が増える可能性があります。
● 利益(配当)の本国送金
「ベトナムで稼いだ利益を日本に持ち帰るとき、また税金がかかるのでは?」という不安もよく聞きます。
ここは投資家の種類で扱いが分かれます(有限責任会社では「配当」より「利益分配」が正確ですが、ここでは便宜上あわせて説明します)。
- 日本の親会社(法人)が受け取る配当・分配利益:ベトナム側で追加のCIT源泉課税はありません(実質0%)。
- 外国人個人投資家がベトナム法人から受け取る資本投資所得:原則5%の個人所得税(PIT)が源泉徴収されます。
「配当は一律0%」と思い込むと、個人投資の場合に誤ります。なお、かつて存在した「利益送金税」は2004年に廃止されており、法人配当に追加課税されることはありません。
ただし、送金には条件と手続きがあります。
- 当年度の見込利益・中間利益を、当年度の途中(月次・四半期)に国外送金することはできません。会計年度終了後、すべての財政義務を履行し、監査済み財務諸表とCIT確定申告書を所管の税務当局へ提出した後に送金できます(過年度に確定して未送金となっている利益は、別途送金を検討できます)。
- 送金可能額は、監査済み財務諸表とCIT確定申告に基づく累積利益から、再投資分・既送金分・国内使用分を控除して算定します。
- 当該年度の財務諸表上、税法に従い過年度損失を繰り越した後も累積損失が残る場合は、その利益を国外送金できません。
- 送金にあたっては、外国投資家または投資先企業が、利益額・送金年度等を所定様式で税務当局へ事前通知します(送金予定日の少なくとも7営業日前まで。これは承認申請ではなく通知です)。あわせて銀行へ送金書類を提出します。
- 外国直接投資に該当する場合、原則として適切な直接投資資本口座を経由して送金します。
「法人配当への追加課税はないが、当期利益の送金は年度末の監査・確定申告後になる」と理解しておきましょう。資金を機動的に動かせない点は、キャッシュフロー設計上の重要なポイントです。なお実務上は、未納税や申告不備があると銀行手続きが停滞し、税務当局から確認を受ける場合があるため、日頃の税務対応を整えておくことが円滑な還流につながります。
● 法定監査義務
外資系企業には、毎年の法定監査(独立監査法人による財務諸表監査)が義務付けられています。外資系企業は規模を問わずほぼ例外なく対象になる一方、内資企業は上場企業・金融機関・一定の大規模企業などが対象です。「内資は一切不要、外資だけ義務」という単純な話ではありませんが、外資は監査報酬という固定コストが毎年かかる点を見込む必要があります。
● 税務調査リスク
ベトナムでは税務調査が比較的頻繁に行われ、特に関連会社間取引(移転価格)がある企業、ロイヤリティや管理料の妥当性、利益率の異常などがリスク要因として見られます。これは資本構成そのものではなく、こうした取引の有無によるものですが、日本本社との取引が多い外資は構造的に該当しやすい立場にあります。契約書・成果物・価格算定根拠の整備が重要です。
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7. 飲食店オーナーが取るべき具体的な対策
ここまでの内容を踏まえ、外資として進出する飲食店オーナーが実務で押さえるべきポイントを整理します。
- 本社への支払い設計を先に決める:ブランド使用料・指導料の金額と区分で、FCT負担も損金算入の可否も変わります。FCTを払っても費用が自動的に損金になるとは限らないため、損金算入要件・移転価格・便益の説明可能性まで含め、進出前に税理士と設計しましょう。
- 契約書はサービスごとに区分する:金額だけでなく成果物・履行内容も区分して記載します。
- 役務提供の「実態」の証拠を残す:本社への経営指導料・レシピ提供料は、契約書・請求書だけでなく、実際に役務が現地法人に便益をもたらした証拠(報告書、メール履歴、研修記録、マニュアル等)の保管が重要です。これが示せないと、FCTを納めていてもベトナム法人側で損金否認され、二重に課税されるリスクがあります。
- FCTの負担者(ネット/グロス)を契約書に明記する:本社負担かベトナム法人負担かで手取りも日本側の外国税額控除の可否も変わります。特にネット契約(ベトナム法人負担)では、契約書にグロスアップ(額面への上乗せ計算)の合意と計算根拠を明示しておかないと、ベトナム法人が負担したFCTのCIT部分が現地で損金不算入とされるリスクがあります。曖昧にしない。
- 事業分野優遇をあてにしない収支計画を組む:飲食業は標準20%を前提に。売上規模による15/17%は要件確認。
- 監査コストを固定費に織り込む:外資は毎年の監査が原則必須。年間予算に入れておく。
- 資金還流のタイミングを見込む:当年度利益の国外送金は、会計年度終了後に監査・CIT確定申告等の所定手続きを完了した後に可能となります。年度途中に自由に引き出せない前提で、過年度の未送金利益の取扱いも含めてキャッシュフローを設計しましょう。
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8. よくある質問(Q&A)
Q1. 外資だと法人税率が高くなるって本当ですか?
いいえ。外国資本であること自体を理由に高い税率が適用される制度はありません。標準税率は内資・外資ともに20%で、前年度の年間総売上高により15%・17%の区分もあります(関連企業の規模・関係により適用除外あり)。税率を決めるのは資本構成ではなく、売上規模・優遇対象事業や地域です。
Q2. では「外資は税金で不利」と言われるのはなぜですか?
税率ではなく、外資で発生しやすい「外国契約者税(FCT)」「利益送金の手続き」「法定監査義務」といったコストや手続きがあるためです。ただしFCTや移転価格は外資専用制度ではなく、取引内容次第で内資にも適用されます。
Q3. 日本本社にブランド使用料を払うと税金がかかりますか?
かかります。飲食ブランドで中心となる商標使用権のロイヤリティには、一般にFCTとしてVAT5%+みなしCIT10%が問題となります。日越租税条約上のロイヤリティ限度税率も原則10%で、国内税率と同水準のため、通常は条約を適用しても税率は下がらないことが多い点に注意してください。
Q4. ベトナムで稼いだ利益を日本に送ると、また課税されますか?
日本の親会社(法人)が受け取る配当・分配利益には、ベトナム側の追加源泉課税はありません。ただし外国人個人投資家が受け取る場合は原則5%のPITがかかります。いずれも当年度利益は年度途中には送金できず、年度終了後の監査・確定申告等の完了後に送金できます(過年度の未送金利益は別途送金を検討できます)。
Q5. 飲食店でも税制優遇は受けられますか?
ハイテク・IT・教育・環境分野などの事業分野優遇は、一般的な飲食業では受けにくいのが実態です。一方、売上規模に基づく15%・17%は要件を満たせば検討の余地があります。
9. まとめ:5つのポイント
ベトナムの税金における内資・外資の違いを、最後に5点に整理します。
- ① 税率は資本構成で変わらない:外国資本だから高い、という制度はありません。CITは標準20%(前年度売上規模により15/17%)、VATは標準10%(2026年末まで対象取引8%)、PITは5〜35%(2026課税年度から5段階に簡素化)で、いずれも外資・内資の区分ではなく規模・取引・居住者区分で決まります。
- ② 国外本社への支払いでFCTが生じやすい:日本本社への商標ロイヤリティ(VAT5%+CIT10%)・指導料に外国契約者税がかかるのが、飲食外資で生じやすい代表的な見落とし論点です。ただし外資専用の税ではなく、国外取引の有無による差です。
- ③ 事業分野優遇は効きにくい:飲食業は奨励事業に該当しにくく、ハイテク向けのような優遇は受けにくいのが実態です。
- ④ 利益送金は法人配当0%だが制約あり:外国法人投資家への配当・分配利益はベトナム追加課税なし(外国人個人は5%)。ただし当年度利益は年度途中には送金できず、年度終了後の監査・CIT確定申告等の完了後に送金できます。
- ⑤ 監査・移転価格の負担:外資は毎年の法定監査が原則必須で、親子間取引は移転価格の観点で厳格に見られます。
「外資だから税金が高い」のではなく、「外資だから別の取引と手続きが発生しやすい」——この違いを正しく理解して収支計画に織り込めば、ベトナム進出の税務は決して怖いものではありません。
なお、飲食店の外資進出では、税金以上に投資登録証明書(IRC)・企業登録証明書(ERC)の取得や、店舗ごとの営業許可・食品衛生・消防などの許認可が実務上の大きなハードルになります。資本金設定、親子ローン、ロイヤリティ比率の設計次第で、将来日本へ還流できるキャッシュフローは大きく変わります。表面的な「税率は同じ」という言葉だけで安心せず、設立前のスキーム構築段階から税務・リーガルの両面でチェックすることをおすすめします。
ベトナム進出の税務・実務でお悩みの飲食店オーナーの方は、お気軽にご相談ください。
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【2026年最新版】東南アジア飲食店進出・7か国比較ハブガイド
(ベトナム/タイ/シンガポール/マレーシア/インドネシア/カンボジア/フィリピン)
上記記事では、各国の進出条件・難易度・向いている企業タイプを1ページで整理しています。
- ベトナムでの飲食店開業・出店ガイド(低資本・自由度重視)
- タイでの飲食店開業・出店ガイド(観光×多店舗展開)
- シンガポールでの飲食店開業・出店ガイド(富裕層・ブランド戦略)
- インドネシアでの飲食店開業・出店ガイド(人口ボーナス市場)
- マレーシアでの飲食店開業・出店ガイド(高単価・英語圏)
- カンボジアでの飲食店開業・出店ガイド(ドル経済・外資100%)
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▽この記事の共同監修者
フードコネクションベトナム 林 吉祥
映像制作・フロントエンドエンジニア・WEBデザイナーを経て、2014年よりベトナムへ。
現地法人の立ち上げから携わり、4名の組織を40名まで育てたマネージャー。
長年のホーチミン生活で培ったリアルな視点から、現地の気づきを発信していきます。

