ホーチミンで飲食店ができる物件の家賃相場は?!居抜き・事業譲渡の実例も解説 – ベトナム進出支援・飲食店開業・出店ならグローカルコネクション
2026.06.03
ホーチミンで飲食店ができる物件の家賃相場は?!居抜き・事業譲渡の実例も解説
ホーチミンで飲食店を開業しようと考えたとき、多くの方が最初にぶつかる壁が「物件の家賃」です。
「居抜きで引き継げる物件はあるのか、いくらかかるのか」
こうした疑問を持つ方に向けて、現地の物件情報とリアルな事業譲渡事例をもとに、ホーチミンの飲食店舗相場を解説します。
また、2025年7月の行政区画再編によりホーチミン市の「区」は廃止されていますが、本記事では読者に馴染みのある旧区名を通称として使用しています。
目次
1. ホーチミンの飲食店舗、家賃はどれくらい?エリア別相場
ホーチミンの店舗賃料は、エリアによって大きく異なります。
1区の一等地路面と郊外では、同じ面積でも月額が数倍変わるケースがあります。
● エリア別・路面店舗の賃料目安(2025〜2026年)
| エリア | 賃料目安(㎡/月) | 特徴 |
|---|---|---|
| 1区(路面一等地) | 80〜150 USD以上 | 観光客・富裕層向け。超一等地はさらに高額なケースも |
| 1区(上階・地下・ビル内) | 20〜50 USD前後 | 路面より大幅に抑えられるが視認性は低下 |
| タオディエン(2区エリア) | 20〜45 USD | 外国人駐在員・富裕層が多い。カフェ・ブランチ系が集積 |
| 3区 | 30〜60 USD | 1区隣接。コスパと立地のバランスが良い |
| 7区(フーミーフン) | 25〜50 USD | 韓国人・日本人ファミリー層。商業施設内も多い |
| トゥドゥック市 | 20〜45 USD | 成長エリア。地下鉄1号線開通後の人流増に期待。ただし駅距離・導線・客層との相性は物件単位で要検証 |
| ビンタン区・フーニャン区 | 15〜30 USD | ローカル中心。コスト重視の業態向き |
㎡単価と月額総額は別物であり、面積次第で月額は大きく変動します。
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2. 実際の物件事例(2025〜2026年)
● 事例① 1区・レタントン通りのビル(26/4 Le Thanh Ton)
ホーチミン中心部・1区の商業ビルの各階貸し事例です。
| フロア | 面積 | 月額賃料(税・管理費込) | 日本円換算(目安) |
|---|---|---|---|
| 地下1階(Basement) | 110㎡ | 1,537 USD/月 | 約25万円前後 |
| 1階(Floor 1) | 105㎡ | 3,073 USD/月 | 約50万円前後 |
| 4階(Floor 4) | 152㎡ | 2,578 USD/月 | 約42万円前後 |
| 5階(Floor 5) | 150㎡ | 2,264 USD/月 | 約37万円前後 |
同じビル内でも路面に近いフロアほど賃料が高くなる傾向があります。
1区の路面一等地は㎡単価が80〜150USD以上になる例もあり、面積次第で月額は数十万円から150万円超まで大きく変わります。
● 事例② タオディエン(2区エリア)の一棟貸し住居兼店舗
タオディエンのグエンクー通り3番地の事例です。
- 住所:3 Nguyen Cu, Thao Dien, Tp. Thu Duc
- 土地面積:間口4m × 奥行28m(1階+中2階)
- 月額賃料:7,000万VND(約42万円前後)※税別
- 保証金:3か月分
複合ビル内の商業区画については個別確認が必要です。
戸建て(Nhà phố)を飲食店舗へ転用する場合も、商業用途への変更手続きと消防基準への適合工事が必要になるケースがあります。
また、個人所有物件の場合、外資法人がその所在地を投資プロジェクトの実施場所として使用できるかを専門家に確認する必要があります。
天井高・避難経路・厨房設置可能範囲が営業可否に直結します。
タオディエンは外国人駐在員・富裕層・ベトナム人富裕層・ファミリー層・デリバリー需要が混在する多様なエリアです。
路面・一棟貸し・好立地では数十万〜100万円超になる可能性がある一方、小型区画・上階・一部転貸などでは20万円台から見られるケースもあります。
3. 居抜き・事業譲渡の相場感(ホーチミンの実例)
日本で言う「居抜き」に相当する取引は、ベトナムでも実務上行われています。
ただし日本の居抜きと同じ仕組みではなく、以下の要素がそれぞれ個別に切り離されていることを理解する必要があります。
- 内装・設備・什器の売買(造作譲渡に相当)
- 賃貸契約の新規締結または転貸承認(原賃貸人の書面による承認が必要)
- 法人・ライセンスの取り扱い(スキームによって手続きが大きく異なる)
- 各種許認可の再取得・変更手続き(詳細は後述)
● 居抜き譲渡でかかるコストの構成
- 造作譲渡費用:小規模ローカル店なら数十万円相当からあり得ますが、1区・大型店・日本食・高級内装・厨房設備付きでは数百万円〜1,000万円超になるケースもあります
- 保証金:3ヶ月が一般的ですが、オーナーの方針によって2〜6か月程度まで幅があります
- 法人・許認可取得費用:買収スキームによって大きく変わります
● 実事例:「酒場サスケ」(ホーチミン市内)
現在売却予定の日本式居酒屋の事例です。
- 営業期間:2020年オープン・約6年(2026年時点)
- 月額家賃:3,000 USD(約48〜50万円前後)
- 売却額(造作譲渡費):4億5,000万VND(約270万円前後 ※1VND≒0.006円換算)
- 現在の売上平均:月6億VND(約360万円前後)※雨季は売上が下がる傾向あり・売主申告値(未監査)
- 特記事項:2Fには「寿司高」が残るため、1Fと3Fの転貸予定。家賃が高いため売却額は抑えめに設定
転貸構造(2F残存・1F/3F転貸)についても、原契約への転貸許可明記・共用部の責任分界を必ず確認してください。
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4. 外資でホーチミンに飲食店を出す際の重要な手続きと注意点
● 物件の仮契約(MOU等)と法人設立準備はほぼ並行して進む
外資法人がIRC(投資登録証明書)を取得するためには、申請書類としてプロジェクト所在地を使用する権利を示す資料(賃貸契約書・MOU・原則合意書などが求められるのが一般的です)の提出が必要です。
そのため、物件確保と法人設立準備はほぼ並行して進める必要があります。
個人所有物件や住宅物件では、MOUを取った後にIRC申請書類として使えないことがあります。
この条項がない場合、許認可が下りなかった際に数か月分の資金が戻らないリスクがあります。
● 物件確保からオープンまでの目安スケジュール(外資新規設立の場合)
- ① 物件MOU等締結・貸主権限確認 → IRC申請・取得(約1.5〜2か月)
- ② ERC取得・法人設立(約0.5〜1か月)
- ③ 内装工事・設備設置
- ④ 食品安全・消防関連の確認・取得(物件条件・工事内容・追加是正の有無によって大きく変わります)
- ⑤ オープン
● 転貸物件のリスクを理解する
合法的な転貸には①原賃貸借契約書への転貸許可の明記、②転貸人側の事業登録状況の確認が必要です。
これらが整っていない物件では、原オーナーからの明渡し要求・保証金回収不能・損害賠償リスクが生じる可能性があります。
契約前に必ず法務専門家によるチェックを行ってください。
● 税務の取り扱い:家主の属性で変わる
- 法人オーナーの場合:不動産賃貸は通常VAT 10%を前提に確認します(2026年末までの8%減税措置でも、不動産関連サービスは対象外とされています)
- 個人オーナーの場合:一定収入を超える賃貸収入についてVAT・PITが課されるのが一般的です。
実務上はVAT 5%+PIT 5%として説明されるケースがありますが、最新の課税基準・申告方法は税理士に確認してください - 借主側が申告・納付手続きを行う契約設計になるケースがあります
● 保証金は物件条件で大きく変わる
商業一等地や飲食業向け物件では3か月以上を求められるケースもあります(エリア・オーナー・契約期間・改装有無により変動)。
月額3,000ドルの物件であれば保証金だけで9,000ドル以上になる場合も。
初期資金計画には余裕を持って試算してください。
● 消防法(PCCC)への適合確認
近年のベトナムでは消防査察が厳格化しています。
前テナントの業態変更・改装・厨房設備変更などにより、再確認・追加工事が必要になるケースがあります。
内見・デューデリジェンス段階で専門家に確認することをお勧めします。
● 環境規制への適合:グリストラップ・排水処理
飲食店の許認可取得において、食品安全・消防と並んで環境保護規制への適合も確認が必要です。
一定規模の飲食店や油・汚水を大量に出す業態では、基準を満たすグリストラップ(油水分離槽)や排水処理設備の設置が求められます。
● 物販を行う場合は別途ライセンスが必要
外資系飲食店が「店内での飲食提供」だけでなく、自社ブランドのコーヒー豆・ドレッシング・パッケージ菓子の販売や、輸入ワインのボトル持ち帰り販売を行う場合、飲食店ライセンスのみでは営業範囲外となります。
この場合、別途「小売店舗設立許可」または事業ライセンスの取得が必要になる可能性があり、外資小売業の許認可ハードルは飲食業と比べて高い場合があります。
事業内容の設計は専門家と事前に整理してください。
● 外資によるM&A(法人買収)の場合の手続き
既存法人を買収する場合は新規設立とは異なりIRCを新規取得しないスキームもあります。
ただし、外資による出資・持分取得登録、外資参入承認(必要になるケースがあります)、企業登録情報の変更、許認可の変更確認が必要になる場合があります。
法務・財務デューデリジェンスは必須です。
● 許認可の取り扱いについて
設備のみの居抜き譲渡(資産譲渡)の場合、食品安全証明・消防関連・酒類提供に関する登録など各種許認可は、原則として新法人名義での再取得または変更手続きが必要になる可能性が高いです(許認可の種類・内容によって異なります)。法人買収(M&A)の場合は許認可の連続性を確保しやすい面がありますが、変更届・再確認が必要なケースがあります。
● 資本金の設定に注意する
ベトナムの飲食業に法定最低資本金はありませんが、外資法人がIRCを取得する際、DPI(計画投資局)は「事業計画(内装費・保証金・運転資金等)を自力で賄えるだけの資本金が設定されているか」を確認します。
実務上はUSD 12,000〜20,000以上が適切とされるケースもあり、資本金が事業規模に比して小さすぎると審査が遅延・否認されるリスクがあります。
資本金の設定は専門家と相談のうえ決定してください。
● 雨季の売上低下を収支計画に織り込む
ホーチミンの雨季(5〜11月頃)は集客が落ちやすく、特にオープンテラス系の業態は影響を受けます。
年間収支計画には雨季の売上低下を必ず織り込みましょう。
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5. 「居抜き」で開業するメリット・注意点まとめ
● メリット
- 開業費を抑えられる可能性がある(厨房設備・内装がそのまま使えれば工事費を節約できるケースがある)
- 立地の良い物件を取得できることもある
● 主な注意点
- 許認可は原則として再取得・変更手続きが必要になる可能性が高い
- 消防・環境規制への適合工事が追加発生することがある
- 法人買収(M&A)の場合も、外資参入承認・変更届が必要になるケースがある。また隠れ債務を引き継ぐリスクがある
- 建物の用途(居住用か商業用か)・外資法人が使用できる物件かの確認が必須
- 居抜きだからといって必ずコストが抑えられるわけではない
6. 物件・居抜き契約前の確認事項チェックリスト
物件の内見・契約前に、以下の項目を専門家と一緒に確認することをお勧めします。
- 貸主は所有者か、転貸人か。転貸の場合、原契約での転貸許可は明記されているか
- 外資法人の投資プロジェクト所在地として使えるか(土地・建物書類・貸主権限の確認)
- 居住用でなく商業利用が可能か。用途変更が必要な場合の手続きは何か
- 消防(PCCC)・排気・電気容量・排水・グリストラップは飲食用途に耐えるか
- 食品安全証明の取得に必要な厨房・設備条件を満たせるか
- 保証金返還条件・原状回復・家賃改定・更新条項は明確か
- MOU・仮契約にライセンス不取得時の返金条項(Exit条項)が盛り込まれているか
- 居抜きの場合:売上資料はPOS・銀行入金・税務申告と整合しているか
- 物販を行う場合:必要なライセンスは飲食業ライセンスのみで足りるか
7. まとめ:ホーチミンの物件探し、こう考える
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 1区・路面一等地 | ㎡単価80〜150USD以上の例も。面積次第で月額は数十万〜150万円超まで幅がある |
| 1区・上階/地下 | 月25〜50万円前後の事例あり |
| タオディエン(2区エリア) | 路面・一棟貸しは数十万〜100万円超。小型・上階なら20万円台も |
| 3区・7区・トゥドゥック | 月10〜60万円台。コスパ重視・地域密着型向き |
| 造作譲渡費 | 数十万〜1,000万円超まで幅がある。収益構造の検証が先決 |
| 初期費用の目安 | 保証金+造作譲渡費+許認可対応費用+空家賃(実務上4〜5か月以上分) |
| 物件確保〜オープンまで | 実務上4〜5か月以上。長期化する場合も |
ホーチミンの飲食店物件は、エリアと業態のマッチングはもちろん、法人設立スケジュール・物件MOU・許認可取得・消防法・環境規制・税務処理・隠れ債務リスクまで含めて総合的に判断することが開業成功の鍵です。
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ホーチミンの物件相場についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
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- ベトナムでの飲食店開業・出店ガイド(低資本・自由度重視)
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- シンガポールでの飲食店開業・出店ガイド(富裕層・ブランド戦略)
- インドネシアでの飲食店開業・出店ガイド(人口ボーナス市場)
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▽この記事の共同監修者
フードコネクションベトナム 林 吉祥
映像制作・フロントエンドエンジニア・WEBデザイナーを経て、2014年よりベトナムへ。
現地法人の立ち上げから携わり、4名の組織を40名まで育てたマネージャー。
長年のホーチミン生活で培ったリアルな視点から、現地の気づきを発信していきます。

