フードコネクションベトナムディレクターの親盛です。現在、私はホーチミンを拠点に、日系飲食店様の進出支援を行っています。
レタントンに次ぐ「第2の日本人街」として、今や誰もがその動向に注目しているエリア、それがビンタン区の「ファンビッチャン(Phan Van Giang / Ward 19)」です。かつてはローカルな住宅街でしたが、ここ数年で日系飲食店が急増し、レタントンとは全く異なる独自のマーケットを形成しています。
今回は、2026年最新の視察データに基づき、ファンビッチャンへの出店判断基準を徹底解説します。
1. エリア概要:急速に進化する「第2の日本人街」
ホーチミン1区のすぐ隣、ビンタン区(Ward 19)に位置するこのエリアは、ここ数年で日本人駐在員や感度の高いベトナム人が集まる「トレンド発信地」へと変貌を遂げました。
● 特徴
レタントンが「ビジネス・接待」の街であるのに対し、ファンビッチャンは「生活・日常・トレンド」の街です。高層コンドミニアム「シティガーデン」をはじめ、多くのサービスアパートが密集しており、住職近辺のライフスタイルを好む日本人が多く居住しています。
ファンビッチャンの中でもエリアによって「奥ビッチャン」「右ビッチャン」などと呼ばれ、各エリアに人気の飲食店が点在しています。
(※画像挿入:ファンビメイン、右ビッチャン、奥ビッチャンイメージ写真)
● 雰囲気
レタントンほどのギラギラ感はなく、どこか日本の「恵比寿や中目黒」のような、落ち着いた大人の隠れ家的なお店や、オシャレなカフェ、バーが路地裏に潜んでいるのが特徴です。
2. 出店判断のためのマーケットデータ
▽ ターゲット層
- 日本人駐在員・居住者:単身者だけでなく、夫婦やカップルも多い。平日の仕事帰りや、週末の「近場での外食」を好む層。
- 感度の高いベトナム人(Z世代・富裕層):「レタントンは少し古い、ファンビッチャンのほうがオシャレ」と捉える若年層。SNSでの拡散力も高い。
- 欧米系・多国籍な住民:1区の喧騒を避けて移り住んだ外国人グループ。
▽ 家賃相場(2026年現在の目安)
レタントンよりは割安ですが、人気沸騰により上昇傾向にあります。
1. メイン通り(ファンビッチャン通り沿い):30万円〜60万円前後
路面店としての視認性が高く、ベトナム人客も取り込みやすいエリア。
2. ヘム(路地裏)、奥ビッチャン、右ビッチャン:15万円〜35万円前後
レタントンよりも物件のサイズがコンパクトなものが多く、小規模なスタートが可能です。また、フロア貸しが可能な物件もあります。
(※画像挿入:蔵のある通りの写真)
▽ 物件事例
ファンビッチャン(右ビッチャン)にある具体的な物件情報を紹介します。
- 建物:6階建 / 1棟借り物件
- 構造:1、2階が飲食店、3、4、5階が住居、6階がテラス
- 席数:合計〇〇席(1階〇〇席、2階〇〇席)
- 家賃:約30万円
3. レタントンとの決定的な違い
出店エリア選びの参考に、2つの日本人街を比較します。
| エリア |
特徴 |
主要ターゲット |
運営スタイル |
| レタントン |
圧倒的な集客力、接待需要 |
出張者・観光客・ビジネスマン |
高単価・経費利用 |
| ファンビッチャン |
人気店が多く、隠れ家感がある |
居住者・感度の高い若年層 |
専門店特化・コミュニティ型 |
4. ファンビッチャン出店のメリット・デメリット
◎ メリット
- 高いリピート率:居住エリアのため、一度ファンを掴むと「週に数回」通ってくれる常連客が定着しやすい。
- 家賃を抑えた挑戦:レタントンより固定費が抑えられるため、尖ったコンセプトやニッチな業態でも勝負がしやすい。
- ベトナム人客の取り込みやすさ:新しいもの好きなベトナム人が多いため、デジタルマーケティングとの相性が非常に良い。
△ デメリット
- 集客の波:ビジネス街ではないため、ランチ需要はレタントンに劣ります。夜と週末に収益を最大化するモデルが必要です。
- 駐車スペースの不足:路地が狭く、バイクや車の駐車管理がレタントン以上にシビアになるケースがあります。
5. ファンビッチャンで成功している店舗の傾向
ファンビッチャンは、レタントンに比べて「お店の個性(尖り)」がダイレクトに集客に直結するエリアです。
① 焼き鳥 八兵衛(Hachibei):ブランド力と「本物」の現地化
福岡・博多の名店がファンビッチャンのメイン通りに構える旗艦店です。
- 戦略:ベトナム人スタッフを日本の本店で研修させ、備長炭の火入れまで妥協しない「本物のクオリティ」を提供。
- 分析:客層の半分以上がベトナム人や他国籍の外国人である点が特筆すべき点。ファンビッチャンで培った認知をレバレッジに、多角化を成功させているロールモデルです。
(※画像挿入:八兵衛 外観写真)
② 小料理 西(Koryori Nishi):ニッチな「おばんざい」需要の独占
「日常の安らぎ」を求める層を完璧に掴んでいるのが、日本人店主・西氏が手がける「小料理 西」です。
- 戦略:日替わりの「おばんざい」と、注文ごとに炊き上げる「土鍋ごはん」が看板。脂っこい外食が続きがちな駐在員へ「健康的な価値」を提供。
- 分析:「一人でもふらっと寄れる」空間設計により、単身駐在員のサードプレイスを確立。来店頻度(LTV)を極限まで高めるストック型の経営モデルです。
(※画像挿入:小料理 西 外観写真)
③ 居酒屋 まるこ(IZAKAYA MARUCO):渋谷発・大衆酒場の「熱量」を移植
2024年後半の上陸以来、ファンビッチャンの夜を一気に明るくした東京・渋谷の人気店です。
- 戦略:「デイリーユース」をコンセプトに、和食・洋食・創作料理が混在するワクワクするメニュー構成で、若い世代や女性客の心を掴んでいます。
- 分析:真骨頂は「空気感」の作り込み。日本のトレンドと現地のエネルギーを融合させ、エリアのハブ(中心地)としてのポジションを確立しています。
(※画像挿入:まるこ 外観写真)
6. 総評:ファンビッチャンはこんな飲食店におすすめ
ファンビッチャンは、「特定のジャンルで確かな技術を持ち、常連客とじっくり向き合いたいプロ」に最適なエリアです。
- 推奨:特定の看板メニューで差別化できる。小規模から着実に利益を積みたい。
- 非推奨:総合居酒屋、大規模な店舗で一気に集客したい(物件のサイズ的に不向き)。
[ワンポイントアドバイス]
ファンビッチャンでは、「ヘムの入口」よりも、あえて「ヘムの奥」にあるディープな物件のほうが、ターゲット層には「知る人ぞ知る店」として刺さる傾向があります。
いかがでしたでしょうか。第2の日本人街として成長し、現在はベトナム人のトレンド層も巻き込み、レタントンを凌ぐ勢いを見せるファンビッチャン。
もし貴店が「尖ったコンセプト」をお持ちであれば、このエリアが最も大きな利益を生む可能性があります。具体的な「業態」や「ご予算」に合わせて、最適な路地や物件のご提案をさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。
どうぞお気軽にお問い合わせください。よろしくお願いいたします。
▽この記事の共同監修者
フードコネクションベトナム / グローカルコネクション
親盛 龍斗
沖縄県出身。飲食店のWEB/販促/ブランディングに関するディレクターを経験後、2025年7月よりベトナムに赴任。自らもインフルエンサーとして情報発信をしながら、日本の飲食店のベトナム進出支援を中心に海外進出を検討する飲食店を支援している。