
フードコネクションベトナム、ディレクターの親盛(おやもり)です。
現在、ベトナムのホーチミンを拠点に海外進出支援業務に携わっています。
日本の飲食店様からベトナム進出のご相談をいただく際、「法人さえ設立すれば、すぐにお店を開けられる」と考えていらっしゃるケースが少なくありません。しかし、その認識のまま進めると、ベトナムでは痛い目を見ることになります。
「内装工事が終わったのに、消防検査が通らず半年もオープンできない」
「ライセンスの手続き中に資金がショートしそうになった」
これらは現地で決して珍しい話ではありません。
ベトナムでの飲食店開業において、法人設立はあくまで「スタートライン」に過ぎません。そこからが、日本とは全く異なる「ライセンス(許認可)取得との戦い」の始まりです。
特に近年、消防法(PCCC)の運用が極めて厳格化されており、過去の成功事例が通用しなくなっています。
法人設立後に必要となる「飲食店としての営業ライセンス取得」に焦点を当て、具体的な手続き、期間、そして外資企業が直面しやすい課題を解説します。
【あわせて読みたい】ベトナム進出の全体像を知りたい方へ
本記事では、ライセンス取得の実務と注意点を詳しく解説しています。個別のご相談は無料相談をご利用いただけます。
ベトナム進出・開業の無料相談はこちら >
1:まずは「法人設立」と「ライセンス」の関係を理解する
ベトナムで飲食店を開業するには、まず「法人(会社)」を作る必要がありますが、それだけでは営業できません。
法人設立という「箱」を作った上で、その中に「飲食店としての営業許可(サブライセンス)」を入れていくイメージです。
法人設立(IRC・ERC)については別記事で解説
外資系企業の設立には、IRC(投資登録証明書)とERC(企業登録証明書)という2つの証明書が必要です。
会社を作る具体的な手順については、以下の記事で実務ベースの詳しい解説をしています。
[参考記事] ベトナムで飲食店を開業するための会社設立手順|外資100%法人の期間・費用・注意点
本記事では「設立後〜開業」の実務を解説
この記事では、法人設立の「次」のステップ、あるいは並行して進めなければならない「店舗物件に関わるライセンス(消防・衛生など)」と「現場のリアル(費用・トラブル)」に焦点を当てて解説します。ここが最もつまずきやすく、開店遅延の原因となるポイントだからです。
2:飲食店開業に必要な「4大ライセンス」と取得順序
ERC(企業登録証明書)が取得できたら、いよいよ店舗の営業に向けたライセンス取得が本格化します。
STEP1|店舗物件の契約・内装工事の開始
期間目安:1〜2ヶ月
注意点:工事着工前に、消防・衛生基準をクリアするための設計、不動産デポジット、前家賃の送金準備が必要です。
STEP2|消防検査・消防ライセンスの取得(PCCC)
期間目安:1〜数ヶ月(※最難関)
消火設備、避難経路、建築材の防火性などが検査されます。内装工事と並行して進める必要があります。
【ここが落とし穴】物件・内装の注意点
物件選び: 契約前に、ビルオーナーが「建物全体の消防認可証」を持っているか必ず確認してください。建物自体の認可がない場合、テナントの営業許可も降りません。
内装制限: 壁や天井の不燃材料証明や、避難経路の確保が必須です。設計段階から消防コンサルタントを入れて承認を得てください。
STEP3|食品衛生安全証明書(VSATTP)の取得
期間目安:約1ヶ月〜2ヶ月
店舗の設備、調理プロセス、従業員の衛生状態が基準を満たしていることの証明が必要です。冷蔵庫・冷凍庫の温度管理、手洗い設備、食材の保管方法などが検査されます。
STEP4|アルコール・たばこ販売登録
期間目安:随時
酒類販売ライセンスは別途申請が必要で、手続きに時間がかかります。
3:【完全公開】開業にかかる「リアルな初期費用」シミュレーション
| 項目 | 費用感(目安) | 備考 |
|---|---|---|
| 不動産関連(デポジット) | 賃料の2〜3ヶ月分 | 不動産デポジットとして必要になります。 |
| 内装・施工費用 | 坪単価 20万〜40万円 | コンセプトや規模によりますが、最も大きなコストです。 |
| ライセンス取得費用 | 数万〜数十万円 | 申請代行手数料、行政費用など(サブライセンス含む)。 |
| 運転資金 | 事業計画による | 開業当初のキャッシュフローを確保する必要があります。 |
【重要コラム】日本からの資金送金と親子ローン
意外と見落としがちなのが「お金の送り方」です。
資本金は90日以内に海外(日本)から送金する必要があります。
ハンドキャリー(現金持ち込み)で資本金を入れることは認められていないため、必ず銀行経由での正規ルートを確保してください。
4:外資特有の「落とし穴」と回避策
リスク1:消防法(PCCC)・衛生検査の厳格化
外資100%の店舗は、ローカル店舗に比べてチェックが極めて厳しい傾向があります。
特に2023年以降、運用基準が厳格化されています。もし基準を満たせず「工事をしてから修正する」ことになれば、開業が半年以上遅れるなど、致命的な損失となります。
リスク2:物件オーナーとのトラブル
特に多いのが、契約内容(修繕義務、内装変更、原状回復など)に関する認識の相違です。
契約前に、商慣習に詳しい専門家によるリーガルチェックを必須とすることをおすすめします。
リスク3:人材確保と人件費管理
日本語話者の飲食店経験者を月給7万円前後で採用できる事例もあるなど、日本と比較して人件費面での大きな優位性があります。
5:リスクを最小限にする「テストマーケティング」という選択肢
いきなり法人を設立し、数千万円を投資する前に、「今の自社の味がベトナムで通用するか?」をテストすることが、失敗しないための最短ルートです。
1. ベトナム繁盛店視察プラン
現地事情に精通したスタッフがアテンドします。
2. 運営代行・ゴーストレストランプラン(3ヶ月〜)
法人設立なし・ライセンス取得なしで、ベトナム進出を「試す」ことができるプランです。
※2026年5月中旬スタート予定
3. 進出完全サポートプラン
物件探し、難関の消防対応、人材採用までワンストップでサポートいたします。
6:【FAQ】ベトナム飲食店開業・ライセンス取得のよくある質問
Q. 消防ライセンスはどのように取得するのですか?
A. 内装着工前に図面確認を受け、工事後に立ち会い検査が必要です。取得プロセスが非常に複雑なため、コンサルティングフィーとして数十万〜数百万円がかかることが一般的です。
Q. 酒類販売ライセンスは必ず必要ですか?
A. 度数20度以上の強い酒(ウィスキー、焼酎、ワインなど)を販売する場合は、基本的にライセンスの取得が必要です。
Q. 店舗物件はライセンス取得に影響しますか?
A. はい、大きく影響します。特に消防基準は物件構造に依存するため、ビル自体が消防認可を受けているかどうかが重要です。
まとめ
ベトナムでの飲食店開業は、ライセンス取得という高いハードルがありますが、それを乗り越えた先には巨大なマーケットが待っています。
貴社の状況に合わせた、最もリスクの少ない進出方法をご提案させていただきます。
\ベトナム進出を「低リスクで試す」サービスを見る/
飲食店のベトナム進出支援公式サイトはこちら:https://www.foodconnection.jp/glocal/
どうぞお気軽にお問い合わせください。 よろしくお願いいたします。






























