飲食店経営において、最も恐ろしいリスクの一つが「食中毒」です。

「うちは衛生管理を徹底しているから大丈夫」と思っていても、スタッフの持ち込みによるウイルス感染や、仕入れ食材の問題など、リスクを完全にゼロにすることは不可能です。
万が一食中毒が発生すれば、被害者への高額な損害賠償だけでなく、保健所の指導による営業停止処分、さらには風評被害による客離れなど、たった一回の事故で経営が傾く恐れがあります。

本記事では、飲食店が直面する食中毒リスクのリアルな賠償金相場や、営業停止時の損失をカバーする「食中毒見舞金」の仕組みについて解説します。 あわせて、食中毒だけでなく、火災や水濡れ事故までまとめてカバーできる「飲食店におすすめの店舗保険」についても詳しく紹介します。

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1. 【データで見る】飲食店の食中毒リスクと「賠償金」の相場

飲食店を経営する上で、もっとも避けたいリスクの一つが「食中毒」です。 厚生労働省の最新統計(令和7年・食中毒統計資料)によると、食中毒発生場所の56%(1175件中658件)が「飲食店」であり、家庭(約1割)や販売店を大きく引き離して発生件数トップとなっています。

「うちは衛生管理に気を使っているから大丈夫」と考えているオーナー様も多いかもしれません。しかし、ノロウイルスのように感染力が強く、従業員や顧客から持ち込まれるケースもあるため、リスクをゼロにすることは非常に困難です。

ここでは、万が一食中毒が発生した際に、店舗が背負うことになる「法的責任」と「金銭的ダメージ」のリアルな相場を解説します。

1-1. 1件で数千万円?リアルな賠償金の事例

食中毒が発生すると、経営者は被害者に対して治療費や慰謝料などを支払わなければなりません。 実際にどれくらいの金額が必要になるのか、1件の食中毒事故で発生する費用の内訳を見てみましょう。

【食中毒発生時の費用の目安】

項目 内容 費用の目安(例)
治療費・慰謝料 被害者1人あたりに対する補償 数十万円 〜 300万円
休業補償 被害者が仕事を休んだことへの補填 数十万円
飲食代・お詫び費用 返金対応や謝罪に要する費用 数十万円
営業停止による損失 3〜7日程度の営業停止期間の売上 数百万円〜

被害者が一人であれば数万円〜数十万円で済むこともありますが、これが「集団食中毒」となった場合は事態が一変します。 数十人のお客様が入院したり、被害者の中に高所得の方がいて高額な休業補償が発生したりした場合、賠償総額は数千万円〜億単位に膨れ上がることも珍しくありません。

1-2. 過失がなくても責任を負う「PL法(製造物責任法)」の怖さ

なぜ、これほど高額な賠償責任が発生するのでしょうか。 ここで飲食店経営者が絶対に知っておくべき法律が「PL法(製造物責任法)」です。食中毒が発生した場合、被害者はこの法律に基づいて損害賠償を請求してきます。

この法律の恐ろしい点は、店舗側に「過失(不注意)」がなかったとしても、責任を負わなければならない(無過失責任)という点です。

  • 「調理手順はマニュアル通り完璧だった」
  • 「仕入れ先の食材がもともと汚染されていた」
  • 「アルバイトが勝手にやったことだ」

このような言い分は通用しません。提供した料理(製造物)に欠陥(菌やウイルス)があり、お客様が損害を受けたという事実があれば、店舗は賠償責任を免れることができないのです。

1-3. 賠償金だけじゃない!「営業停止処分」によるダブルパンチ

食中毒のダメージはお客様への賠償金だけではありません。保健所の調査によって食中毒と断定された場合、3日〜7日程度の「営業停止処分」が下されます。

  • 売上の損失: 営業できない期間の売上はゼロになります。
  • 固定費の流出: 営業停止中も、家賃、従業員の給与、リースの支払いは止まりません。
  • 食材の廃棄: 仕込んでいた食材や生鮮食品をすべて廃棄しなければなりません。
  • 信用の失墜: 店名が公表されることで「食中毒を出した店」というレッレッルが貼られ、営業再開後も客足が戻るまでには長い時間がかかります。

このように、飲食店における食中毒事故は、手元の資金を一瞬で枯渇させるほどの破壊力を持っています。個人の貯金や会社の内部留保だけで対応するのは、あまりにリスクが高いと言わざるを得ません。

2. なぜ「食中毒見舞金」が重要なのか?賠償金との違い

前章で解説した通り、食中毒は数千万円規模の損失を生む可能性があります。「それならPL保険(賠償責任保険)に入っておけば安心だ」—そう思われた方も多いのではないでしょうか。実は、PL保険だけでは、食中毒事故が起きた直後の「倒産リスク」を回避できない可能性があります。

ここで重要になるキーワードが、検索されることも多い「食中毒見舞金」です。 一般的な「賠償金」と「見舞金」は、支払われるタイミングと目的が決定的に異なります。

2-1. 賠償金は「忘れた頃」にやってくる(示談の長期化リスク)

前章で解説した「PL保険(生産物賠償責任保険)」は、あくまで被害者への賠償金をカバーするものです。 この保険金が支払われるまでには、以下のような長いプロセスが必要になります。

  1. 被害者の治療が完了する
  2. 弁護士や保険会社を交えて「示談交渉」を行う
  3. 賠償金額が確定する
  4. 保険金が支払われる

もし被害者との話し合いがこじれたり、治療が長引いたりすれば、示談成立まで数ヶ月〜半年以上かかることも珍しくありません。 その間、被害者へのとりあえずの誠意ある対応や、店の維持費は、すべてオーナー様の自己資金(持ち出し)で賄わなければならないのです。

「保険には入っていたが、保険金が入金される前に、手元の資金が尽きて閉店してしまった」 これは、決して笑い話ではありません。

2-2. 見舞金は「即座」に使える運転資金

一方、「食中毒見舞金(営業停止見舞金)」などの特約は、被害者との交渉結果を待ちません。 多くの場合、保健所から「営業停止処分」を受けた事実などが確認できれば、定額(例:50万円〜100万円など)がスピーディーに支払われます。

この「早さ」こそが、見舞金の最大の価値です。受け取った見舞金は、使途を限定されないため、事故直後の混乱期における「緊急の運転資金」として活用できます。

  • 営業停止中の固定費支払い: 売上がゼロでも発生する家賃や、従業員の給与補償。
  • 被害者への初期対応: お詫びの品(菓子折り)や、見舞金の手渡し。
  • 営業再開の準備: 消毒業者の手配費用や、廃棄した食材の再仕入れ費用。

PL保険が「被害者のための保険」であるならば、見舞金特約は「お店と経営者を守るための保険」と言えます。 資金繰りに余裕がない個人経営の飲食店ほど、賠償金だけでなく「見舞金」が出る保険(または特約)を選ぶことが、廃業を防ぐ命綱となります。

3. 飲食店が選ぶべき「店舗保険」の正解|食中毒以外もまとめてカバー

ここまで「食中毒」のリスクを中心にお伝えしてきましたが、飲食店経営にはそれ以外にも多くのリスクが潜んでいます。 多くのオーナー様が、個別の保険ではなく、食中毒・火災・賠償などをセットにした「店舗総合保険」を選ぶのには理由があります。

3-1. 食中毒保険(PL保険)だけでは足りない?「火災保険と賠償保険がセットになった店舗総合保険」で防ぐべき致命的リスク

飲食店経営には、食中毒以外にも「火災」「水漏れ」など、経営を一瞬で終わらせるリスクが潜んでいます。 コストを抑えるために「とりあえず食中毒の保険(PL保険)だけ入ればいい」と考えるのは危険です。食中毒以外の事故に関しては、「無保険」の状態であり、それはブレーキのない車で高速道路を走るようなものだからです。

もし、これらを個人の貯金や会社の利益だけで賄おうとすると、どうなるでしょうか。

  • 食中毒リスク: 集団食中毒で重症者が出た場合、賠償額が数千万円に達することがあります。
  • 火災リスク: 自店舗の失火でビルや隣接店に被害を与えた場合、家主に対する「借家人賠償責任」が発生し、建物の再建費用として億単位の請求が来ることも珍しくありません。

これらは、個人の資産では到底払いきれる金額ではありません。保険による備えがないことは、実質的に「事故=即廃業・自己破産」を意味します。店舗保険は、単なる安心料ではなく、経営を継続するための「再建資金」なのです。

だからこそ、食中毒(PL保険)だけに単体で加入するのではなく、これら全てのリスクをパッケージでカバーできる「店舗総合保険」を選ぶのが、現在の主流であり「正解」と言えます。

【注意】保険未加入は「契約違反」になる?
多くの賃貸店舗では、契約時に「火災保険(借家人賠償責任保険)への加入」が義務付けられています。更新忘れなどで未加入の状態が続くと、契約違反として立ち退きを求められたり、日本政策金融公庫などの融資審査を受ける際も不利になったりする可能性があります。「ルールの面」でも、保険加入は必須と言えます。

3-2. 飲食店の保険選びの3つのチェックポイント

では、数ある店舗保険の中から、自店舗に合ったものを選ぶにはどこを見ればよいのでしょうか。失敗しないための3つのチェックポイントを解説します。

①「補償範囲」と「借家人賠償」の額
まずは、食中毒だけでなく、火災・漏水・盗難がセットになっているかを確認しましょう。 その上で、テナントの場合は「借家人賠償責任」の額が絶対にチェックすべき項目です。
もし自店舗の過失で火災を起こし、建物を燃やしてしまった場合、家主に対して原状回復するための損害賠償(借家人賠償責任)が発生します。都心のビルなどでは、賠償額が数千万円〜億単位に達することも珍しくありません。「セット内容」と「賠償上限額」が十分か、必ず確認してください。

②「休業補償(利益保険)」はついているか?
第2章でお伝えした「食中毒見舞金」と同様に、火災や水漏れで営業できなくなった期間の補償も重要です。 「1日あたり◯万円」といった定額補償や、粗利益をベースにした実損填補など、売上がゼロでも家賃や人件費をカバーできる特約が含まれているかを確認してください。

③「コストパフォーマンス」と「手続きの手軽さ」
保険は「掛け捨て」が基本となるため、月々のコストが経営を圧迫しては本末転倒です。「補償範囲は広いが保険料が高すぎる」といったミスマッチがないよう、飲食店に必要な補償だけをバランスよく含んだプランを選びましょう。
また、忙しい飲食店経営においては、Webで完結し、更新の手間がかからないものを選ぶのも、長期的に運用する上で重要なポイントです。

4. 飲食店向け保険の徹底比較:業種特化型(少額短期保険) vs 総合パッケージ型(大手損保)

飲食店が検討すべき保険は、大きく分けて 「業種特化型の少額短期保険」 と 「大手損保が提供する総合パッケージ型保険」 の2種類があります。 それぞれ補償設計や考え方が大きく異なるため、サービス内容と価格帯を比較しました。

4-1. サービス内容・価格 比較一覧表※条件により異なります

項目 業種特化型(少額短期保険) 総合パッケージ型(大手損保)
主なターゲット 個人店・小規模飲食店 中〜大規模・多店舗展開
保険料(目安) 月額 1,000円台〜 月額 3,000円〜(内容により変動)
食中毒の補償 ◎ 賠償金+見舞金(定額) △ オプションで追加
営業停止の補償 ◎ 定額の見舞金あり 〇 実際の損失額を補填(審査あり)
火災・水濡れ賠償 〇 基本セットに含まれる ◎ 補償内容を自由に設計可能
賠償補償の考え方 定額・上限あり(1,000万円前後) 実損補填型(高額補償も可)
加入の手軽さ ◎ Web完結 △ 代理店を通した見積が必要

各タイプの特徴と違い

業種特化型(少額短期保険)
月額1,000円台から加入でき、 食中毒・営業停止・借家人賠償など、飲食店特有のリスクをまとめてカバー しているのが特徴です。 補償はあらかじめ決められた金額までの定額型ですが、 「まずは最低限の備えを、無理のないコストで持ちたい」 という個人店・小規模店舗には非常に相性が良い保険です。

総合パッケージ型(大手損保)
建物の構造や立地、売上規模に応じて、 補償内容を細かく設計できるのが最大の強みです。 保険料は高くなる傾向がありますが、 休業時の利益損失などを実際の損害額ベースで補償できるケースもあり、 資本力のある店舗が「事業継続のための本格的な備え」として加入するケースが多く見られます。

4-2. タイプ別のおすすめ

自店舗にはどの保険が合っているのか迷ってしまう場合は、以下の基準で選ぶのがおすすめです。

①「まずは最低限、食中毒と火災だけは安く備えたい」
[少額短期保険(店舗特化・バランス型)] がおすすめ
月々のコストがもっとも低く、飲食店特有のリスク(食中毒見舞金など)に強いため、個人店や小規模店舗の最初の保険として最適です。

②「建物・売上規模が大きく、リスクが複雑」
[総合パッケージ型(大手損保)] がおすすめ
代理店と相談しながら、実情に合った補償設計を行うべきです。

 

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5. よくある質問

食中毒保険や店舗保険への加入に関して、飲食店オーナー様から特によくいただく質問をまとめました。

Q. 食中毒が起きてから保険に加入できますか?

A. できません。
食中毒保険(PL保険・店舗総合保険)は、事故が起きる前に加入していることが補償の前提条件です。 食中毒が発生した後や、保健所の調査が入った後に加入しても、その事故は一切補償対象になりません。 「まだ大丈夫だろう」と思っている間にこそ備えておくことが重要です。


Q. アルバイトやパートのミスでも補償されますか?

A. はい、多くの店舗保険で補償対象になります。
食中毒や異物混入などは、オーナー本人だけでなく、アルバイト・パートの調理や提供ミスが原因になるケースも少なくありません。 一般的な飲食店向け店舗保険では、従業員による業務上の過失も含めて補償されるため、 「人を雇っている時点で保険は必須」と考えるのが現実的です。


Q. 共済と保険、どちらを選ぶべきですか?

A. 小規模な個人店ほど「補償内容」を見て判断するのがおすすめです。
共済は掛金が安い反面、
・補償額が低い
・食中毒見舞金が付かない
・休業補償が弱い
といったケースがあります。

一方、飲食店向けの店舗保険は、 賠償金・見舞金・営業停止中のリスクまでカバーできる設計になっていることが多く、 「万が一の廃業リスク」を考えるなら、保険の方が安心感は高いと言えます。


Q. 月額いくらくらいが現実的ですか?

A. 個人経営の飲食店なら、月額1,000〜3,000円台がひとつの目安です。
30席前後の個人店・小規模店であれば、
・食中毒賠償
・見舞金
・借家人賠償
などを含めて、月数千円で加入できるケースが多いです。

1回の食中毒で数百万円〜数千万円の賠償リスクがあることを考えると、 「固定費」ではなく「廃業保険」として考える店舗オーナーが増えています。

6. まとめ:リスクを最小限に抑えて安定経営を

飲食店の経営において、食中毒や火災は「いつ起きてもおかしくない」ものです。 どんなに気をつけていても、PL法(製造物責任法)のリスクや、もらい火などの災害を100%防ぐことはできません。

しかし、いざという時のために適切な保険に加入しておけば、数千万円規模の賠償金から、営業停止時の資金繰り、火災・水濡れトラブルまで、月々のわずかな掛け金でカバーできます。

「うちは大丈夫」という油断が、取り返しのつかない事態を招くこともあります。 万が一の事態が起きてから後悔する前に、今の補償内容が十分かどうか、ぜひ一度見直してみてください。
低コストで確実な安心を手に入れたいオーナー様は、ぜひ以下の窓口よりお気軽にご相談ください。

【免責事項】
本記事は、飲食店におけるリスク管理と一般的な保険制度の解説を目的としたものであり、特定の保険商品の勧誘や媒介を行うものではありません。具体的な保険料や補償内容、加入の可否については、必ず各保険会社または正規代理店にご確認ください。