はじめに
集客に欠かせないGoogleビジネスプロフィールやSNS、公式サイトの運用といったWeb施策。これらはもちろん重要ですが、効果を出すには「時間」「お金」「ノウハウ」が必要です。特に個人経営や小規模な焼肉屋/焼肉店では、これらすべてを確保するのは難しいかもしれません。
そこで改めて大事にしたいことは、看板や外観を活用した集客方法です。お店の顔であるファサードは、通りすがりの人に「この店は何屋さんなのか」「どんな魅力があるのか」を瞬時に伝え、来店を促す重要なツールです。
基本的には新規で焼肉屋/焼肉店を開業する時に検討することではありますが、オープン1年、3年、5年のタイミングでリニューアルをすることも可能です。売上が伸び悩んでいる飲食店にはぜひ知っていただきたい内容となります。
今回は、飲食店の外観・ファサード専門にデザインを手がける「飲食店店構え研究所」のディレクター、戸田氏が手がけた焼肉屋/焼肉店の成功事例から、その具体的なノウハウをご紹介します。ご自身の店舗デザインについてのご相談も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
どうぞお気軽にお問い合わせください。 よろしくお願いいたします。
看板・外観が果たす役割と目的

看板や外観の第一の目的は、新規客に対し、お店の業態(焼肉屋/焼肉店であること)と強みを一瞬で伝え、集客につなげることです。特に個人店や小規模チェーン店では、「ロゴ」や「屋号」だけでなく、「お店の魅力」をどう伝えるかが成功の鍵となります。ゴールである「新規客の獲得」を達成するためには、看板や外観の設計だけでなく、店舗の立地に合わせて「お客様の導線」を考慮することが不可欠です。遠くから、近くから、そしてどの角度からお店が見えるのかをしっかり検討しましょう。
店舗ごとに立地条件や強みは異なるため、一つの正解はありません。今回は、駅前立地の個人焼肉店と、ロードサイドのスモールチェーン店の事例を比較しながら見ていきます。
事例紹介|リニューアルで売上130%UP!老舗焼肉屋「せいこうえん」

曙橋駅から徒歩3分、客単価6,000〜7,000円、創業昭和55年の歴史あるお店です。看板と外観、メニューのリニューアルによって、売上が130%アップしました。どのような工夫があったのか見ていきましょう。
デザインのポイント「老舗感」と「インパクト」を両立
客単価にふさわしい「趣」と「重厚感」を表現しつつ、通りを歩く人の目を引くデザインに。インクジェットフィルムで石のような質感を出し、高級感を演出しています。
車で走っていても店が認知できるよう「新宿曙橋焼肉」で業態を明確に
片側2車線の道路の反対側からも見えるよう、店舗の外観で最も広い部分に「新宿曙橋焼肉」と大きくデザイン。遠距離からでも業態が伝わるように工夫しています。
「お店の強み」を具体的にアピール
隣のラーメン屋より高い位置に設置許可をもらった縦型看板には、「タン刺身」「牛肉たたき」など、お客様の来店動機につながる看板メニューを記載。チープに見えないよう、モルタル調のインクジェットを使用しています。
A型看板で「足を止める仕掛け」を作る
店舗の前に置くA型看板には、「極上肉寿司」や「和牛のたたき」など、シズル感のある写真を1品ずつ掲載。足を止めたくなるきっかけを作り、興味を持ったお客様が別のメニュー看板を見る、そして最後にのれんの店名を確認するという導線を設計にしています。
ユーザーの声
リニューアルオープン後、お店の前でリサーチしたところ「ここに焼肉屋あったっけ?」という驚きの声も聞かれました。55年も営業していると、お店が街の風景に溶け込んでしまい、記憶に残らなくなる、ということもこともあるようです。
実際の外観を確認したい方は外観解説動画をご確認下さい。
事例紹介|新築で新規オープン 月商3,000万円以上に!スモールチェーン焼肉店「まるい精肉店」

倉敷駅から車で9分、客単価3,000円。精肉卸問屋直営の特急レーンがあるロードサイドの焼肉屋/焼肉店です。新規オープンにもかかわらず、月商3,000万円以上になりました。
「角」を活かした設計
片側3車線の広い道路に面した交差点の「角」に位置している強みを活かし、歩道の斜めになっている部分に正面を設置。見える面が一つ増えることで、より大きなインパクトを与えている設計になっています。
「安さ」を明確に訴求
左右の看板には「1皿390円」「ランチは590円」と数字を大きく記載。車で移動するお客様にも一目で価格がわかるようにし、「安い」という入店動機を強くアピールしています。
「精肉店直営」の強みを表現
「直売所コーナー」を設置、昔ながらの精肉店をイメージさせる赤色を使用。高級になりすぎないデザインで、親しみやすさを演出しています。のれんにも「卸」の文字を入れることで、単に安いだけでなく、「鮮度が高い」ことも伝わるように工夫しています。
車の導線を考慮した看板
車で入店する際、左折で入ることが多い立地を考慮し、側面には「焼肉」「一皿390円から」と記載。運転中でも業種と価格がわかるように設計しています。交差点に位置するため、ポール看板を設置せずとも情報が伝わり、コスト削減にもつながりました。
実際の外観はこちらから
失敗しない、看板外観/ファサードの共通点

飲食店の経営は、開業3年以内の廃業率は約70%、開業10年以内の廃業率は約90%以上と言われる難しい業態で、長く愛される・繁盛するお店を作ることは容易ではありません。その中で外観が果たすべき役割は「新規客の集客」です。
看板/外観/ファサードで新規客を集客するために大切なポイントをまとめてお伝えします。
ポイント1:ターゲット層を明確にする
客単価やターゲット層、利用シーンに合わせた打ち出し&デザインにすることが重要です。看板/外観/ファサードを見たユーザーが「行きたい」と思える内容になっているか客観的に検討する必要があります。
ポイント2:遠距離・中距離・近距離の役割を理解し、情報を整理する
お客様は、遠くからお店を認知し、近づくにつれて興味を深め、最終的に入店を決意します。この一連の流れを意識し、「遠距離」「中距離」「近距離」それぞれの視点から、役割に応じた看板を戦略的に配置することが大切です。
遠距離〜中距離:お店の「発見」を促す看板
通りすがりの車や歩行者に、「あそこに焼肉屋がある」とまず認識してもらうための看板です。
- 壁面看板(ファサード看板)
お店の顔となる最も重要な看板です。ブランドイメージを伝え、遠くからでもお店の存在を知らせます。
・役割: 視認性、ブランドイメージの訴求
・価格目安: 数十万円〜百万円以上 - 袖看板(突き出し看板)
建物の壁から突き出して設置され、通りを歩く人の目線に効果的にアピールできます。
・役割: 存在の告知、誘導
・価格目安: 20万円〜50万円程度
中距離〜近距離:お店の「興味」を引く看板
お店の前を通りかかった人の足を止め、「どんなお店だろう?」と興味を持たせるための仕掛けです。
- スタンド看板(A型看板など)
店頭でメニューや価格、お店のこだわりを具体的に伝える役割があります。ランチメニューなど、情報の更新が容易な点も魅力です。
・役割: 詳細情報の提供、入店のきっかけ作り
・価格目安: 数万円〜 - のれん・提灯
焼肉屋らしい活気や伝統的な雰囲気を演出し、お客様が気軽に入れる温かい雰囲気を作ります。
・役割: 雰囲気作り、入店ハードルの低減
・価格目安: 数万円〜 - ウィンドウサイン(カッティングシート)
窓ガラスを利用して営業時間やメニュー、キャッチコピーなどを表示します。24時間、お店の情報を発信し続ける営業ツールになります。
・役割: 補足情報の提供、空間の演出
・価格目安: 数万円〜(施工面積による)
これらの看板には、「精肉店直営」「創業〇年」「A5ランク黒毛和牛専門店」など、お店の最大の強みを簡潔に、わかりやすく表現することで、お客様の心を掴むことができます。
▼ポイント3:自然に店内へ誘導する「導線」をつくる
それぞれの看板が点で機能するのではなく、お客様を自然に店内へと導く「線」になるように設計しましょう。
遠くから袖看板でお店の存在に気づき、お店に近づいてスタンド看板のランチメニューに惹かれ、のれんをくぐって入店する。このように、お客様の視線の動きを予測し、スムーズな入店の流れを作ることが、集客成功の鍵となります。
焼肉店の看板デザインで失敗しないための3つの法則

看板の役割や種類を理解した上で、次はお店のコンセプトを視覚的に表現するデザインの核心に迫ります。特に焼肉店では、お客様の「食べたい!」という気持ちをいかに刺激するかが重要です。ここでは、数多くの飲食店を手がけてきたプロの視点から、失敗しないための3つのデザイン法則をご紹介します。
▼法則1:食欲をそそる「色」の選び方
色は、人が無意識に抱くイメージを大きく左右します。焼肉店の看板でよく使われ、かつ効果的な色の組み合わせには理由があります。
- 黒・赤
最も王道で強力な組み合わせです。黒は「高級感」「重厚感」「本格的」な印象を与え、どっしりとした信頼感を演出します。そこに赤を加えることで、食欲を刺激し、「情熱」「活気」を表現できます。上質な肉を扱うお店のイメージにぴったりです。 - 木目調
「温かみ」「落ち着き」「自然」な雰囲気を醸し出します。家族連れや、ゆっくりと食事を楽しみたい層に安心感を与えます。木目調をベースにすることで、高級店から大衆店まで幅広いコンセプトに対応できるのも魅力です。 - 白
「清潔感」「クリーン」な印象を与えます。特に衛生面が気になるお客様に対して、安心感を提供できます。他の色との組み合わせもしやすく、洗練されたモダンな雰囲気を演出したい場合にも効果的です。
これらの色をお店のターゲット層や客単価に合わせて戦略的に使い分けることが、第一印象でお客様の心を掴む鍵となります。
▼法則2:力強さと読みやすさを両立する「フォント」
看板の文字は、お店の「声」です。どのようなフォントを選ぶかで、お店の格や雰囲気が決まります。
- 毛筆体・楷書体
「伝統」「本格」「こだわり」を表現するのに最適です。特に、力強い筆文字は「肉」のパワフルなイメージと相性が良く、老舗の焼肉店や高級店でよく使用されます。ただし、あまりに崩しすぎると読みにくくなるため、遠くからでもしっかり読める視認性を確保することが重要です。 - ゴシック体
力強く、はっきりとしていて視認性が非常に高いのが特徴です。「安さ」「ボリューム」「気軽さ」をアピールしたい大衆的な焼肉店や、ファミリー層をターゲットにしたお店に向いています。インパクトを出しやすく、ロードサイドの店舗にも最適です。 - 明朝体
上品で洗練された印象を与えます。個室がメインの高級店や、デートなど特別なシーンで利用されることを想定したお店のデザインに適しています。ただし、線が細いと夜間や遠くから見えにくくなることがあるため、太さや看板の照明とのバランスを考慮する必要があります。
▼法則3:夜の集客を左右する「照明(ライティング)」の重要性
焼肉店のメインの営業時間は夜です。そのため、看板が夜間にどれだけ魅力的かも集客を大きく左右します。
- 内照式看板(内側から光るタイプ)
看板自体が発光するため、夜間でも非常に目立ち、視認性が高いのが特徴です。均一に明るく、クリーンでモダンな印象を与えます。天候にも左右されにくく、安定してアピールできます。 - 外照式看板(外からライトを当てるタイプ)
スポットライトなどで看板を照らす方法です。光と影のコントラストが生まれ、立体感や高級感を演出できます。特に木彫りの看板や凹凸のある看板と相性が良く、趣のある雰囲気を醸し出します。ライトの当て方次第で、様々な表情を見せることができます。 - ネオン・LED
レトロな雰囲気や、逆に近未来的なサイバーな雰囲気を演出できます。特に若い層をターゲットにしたお店や、エンターテイメント性を重視する店舗で効果的です。文字やロゴの形に沿って光らせることで、夜の街で強いインパクトを与えます。
照明は単に看板を明るくするだけでなく、お店の「夜の顔」を作り上げる重要なデザイン要素です。
看板製作のプロセスと注意点

せっかくこだわったデザインも、実際の製作や設置で失敗しては意味がありません。ここでは、看板製作を依頼する際の基本的な流れと、後悔しないための注意点について解説します。
看板製作の基本的な流れ
看板製作は、一般的に以下のステップで進みます。業者によって多少の違いはありますが、大まかな流れを把握しておきましょう。
- 問い合わせ・相談
まずは気になる看板業者に連絡し、どのような看板を作りたいのか、予算はどれくらいかといった要望を伝えます。 - 現地調査・ヒアリング
業者が実際にお店の場所を訪れ、設置場所の採寸や周辺環境(人や車の流れ、景観など)を確認します。同時にお客様の要望をより具体的にヒアリングし、最適なプランを検討します。 - デザイン・見積もりの提案
現地調査とヒアリング内容を基に、具体的なデザイン案と詳細な見積もりが提示されます。デザインや費用に納得がいくまで、しっかりと打ち合わせを重ねましょう。 - 製作
デザインと見積もりが確定したら、看板の製作が始まります。素材や仕様によって製作期間は異なります。 - 設置工事
完成した看板を現地で設置します。安全に配慮し、確実に取り付け作業が行われます。
後悔しないための注意点
- 法令・条例を必ず確認する
看板を設置する際は、「屋外広告物法」や各自治体の条例に従う必要があります。看板の大きさ、高さ、デザインによっては設置許可が必要な場合や、そもそも設置が認められないケースもあります。信頼できる業者はこれらの法規にも詳しいため、必ず相談しながら進めましょう。 - 定期的なメンテナンスを計画に入れる
看板は設置して終わりではありません。雨風や紫外線に常にさらされるため、時間とともに色褪せたり、汚れたり、破損したりする可能性があります。美しい外観を保ち、安全性を確保するためにも、定期的な清掃や点検といったメンテナンス計画を立てておくことが大切です。
飲食店外観ディレクター戸田氏の魅力

飲食店の看板/外観/ファサード専門に30年以上ディレクターとして活動している戸田氏の魅力は唯一無二のディレクション力にあります。
デザインだけなら見よう見まねで作れるデザイナーはいるかと思いますが、遠距離/中距離/近距離の観点から、どのような内容を打ち出すべきか、そしてそれをどのような文字/大きさ/角度で表現するかは真似できるものではありません。
だからこそ、社内にデザイナーを抱える養老乃瀧グループが運営する一軒め酒場、0秒レモンサワーときわ亭が運営するじげもんちゃんぽんなどの大手企業からも声がかかるんです。
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いかがでしたでしょうか?お店の集客を加速させる看板や外観のデザインについて、ご自身の店舗に当てはめて考えてみてください。ご質問や、ご自身の店舗デザインに関するご相談があれば、お気軽にお声がけください。
どうぞお気軽にお問い合わせください。 よろしくお願いいたします。






























